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加藤 千明; 木内 清; 杉本 克久*
Corrosion Engineering, 52(1), p.69 - 85, 2003/01
沸騰硝酸水溶液中における金属の腐食を理解するためには、溶液中、特に沸騰状態における高い平衡電位の発生機構を知る必要がある。最初に、ラマン分光法を用いて硝酸水溶液中に存在する窒素酸化物を分析した。そのうえで、SOLGASMIX計算コードを用いた熱力学的な計算により存在する窒素酸化物量を検討した。ラマン分光分析から硝酸濃度と温度が上昇すると解離していないHNOの存在量が多くなった。また、NOの存在量は硝酸の熱分解により多くなった。熱力学計算から、硝酸水溶液中に含まれる重要な窒素酸化物はNO, HNO, HNO, NO, NOであることがわかった。しかしながら、硝酸水溶液中の平衡電位は、おもにHNO/HNO平衡によって決定された。また、熱力学計算から沸騰伝熱面における硝酸の酸化力上昇は伝熱面上でのHNOの熱分解と沸騰バブルによって溶液から分解生成物が連続的に排出することによりHNO濃度が低下して生じることが示唆された。
加藤 千明; 木内 清; 杉本 克久*
材料と環境, 52(1), p.44 - 52, 2003/01
沸騰硝酸水溶液中における金属の腐食を理解するためには、溶液中、特に沸騰状態における高い平衡電位の発生機構を知る必要がある。最初に、ラマン分光法を用いて硝酸水溶液中に存在する窒素酸化物を分析した。そのうえで、SOLGASMIX計算コードを用いた熱力学的な計算により存在する窒素酸化物量を検討した。ラマン分光分析から硝酸濃度と温度が上昇すると解離していないHNOの存在量が多くなった。また、NOの存在量は硝酸の熱分解により多くなった。熱力学計算から、硝酸水溶液中に含まれる重要な窒素酸化物はNO,HNO,HNO,NO,NOであることがわかった。しかしながら、硝酸水溶液中の平衡電位は、おもにHNO/HNO平衡によって決定された。また、熱力学計算から沸騰伝熱面における硝酸の酸化力上昇は伝熱面上でのHNOの熱分解と沸騰バブルによって溶液から分解生成物が連続的に排出することによりHNO濃度が低下して生じることが示唆された。
須永 博美
電気学会技術報告, (895), p.61 - 62, 2002/09
パルスパワーによる放電や定常ビーム電子線を用いて石炭や石油等の燃焼排煙の脱硫,脱硝処理を行う技術に関する調査報告である。パルスパワーを用いる研究は1980年代後半から進められ、これはパルスストリーマ放電,無声放電,コロナ放電等により発生するプラズマを用いて処理を行う方法である。この放電源にパルスパワーが適用される。最近の研究では印加電圧40kV,放電電流170A,半値幅80nsという極短パルスで、発電所の石炭燃焼実ガス処理を試みた例があり、ここではエネルギー効率を向上させることにより低コスト化を目指している。一方、この排煙処理に定常ビームの電子線を利用する研究は1970年代前半から開始され、現在は実用規模試験を実施する段階になっている。この電子線法についてのこれまでの研究経過,反応メカニズム,さらに揮発性有機物やダイオキシンの処理に取り組んでいる最近の研究動向等についても述べる。
小嶋 拓治
エネルギーレビュー, 22(4), p.27 - 29, 2002/04
日本原子力研究所では、火力発電所からの排煙に含まれる硫黄酸化物及び窒素酸化物,工場の換気ガス中の有害揮発性有機物,ごみ焼却施設からの排煙中に含まれるダイオキシンなどの極微量の汚染物質を電子ビームの特長を活かして分解・除去する技術の開発を行っている。火力発電所から出る排煙の処理技術については、すでに実用化が進み、国内のみならず外国においてもその技術が活用されつつある。揮発性有機化合物については、分解挙動や粒状物質の生成などの現象を明らかにしており、実用化を目指した開発が進められている。ごみ燃焼排煙中のダイオキシンの分解に関しては、実ガスを用いた試験の結果、目的であった90%以上の分解率を達成した。このように、特に環境への拡散が防止しにくい排ガス中の汚染汚染物質に対する電子ビーム処理技術は、地上からの有害物質の削減に寄与するものとして、さらなる技術開発が期待される。
南波 秀樹
放射線利用における最近の進歩, p.162 - 172, 2000/06
放射線(電子線)を用いた排煙処理の対象として、これまで研究されてきたものは、(1)石炭、石油等の火力発電所からの燃焼排煙(処理対象: 硫黄酸化物,窒素酸化物)、(2)ゴミ燃焼排煙(処理対象: 硫黄酸化物,窒素酸化物,塩化水素,ダイオキシン等)、(3)鉄鋼焼結炉排煙(処理対象: 窒素酸化物,硫黄酸化物)である。また、排ガスの処理としては、(4)工場換気排ガス(処理対象: 有機化合物,有機塩素化合物)、(5)トンネル換気排ガス(処理対象: 窒素酸化物)、(6)土壌換気排ガス(処理対象: 有機塩素化合物)などがある。ここでは、特に実用化の域に達している火力発電所からの燃焼排煙処理技術について、その現状を詳述するとともに、ほかの排煙処理についても解説する。
橋本 昭司
電気学会誌, 119(5), p.278 - 280, 1999/05
燃焼排煙の脱硝・脱硫及び工場換気ガス等に含まれる揮発性有機物の電子ビーム処理について、その原理、原研での研究成果、実用化の現状について紹介した。燃焼排煙の処理については、パイロット試験の結果、7kGyの照射で800ppmの硫黄酸化物を94%除去、10.5kGyの照射で225ppmの窒素酸化物を80%除去できることを明らかにした。現在、日本、中国、ポーランドで実用規模の試験が進められている。揮発性有機物の処理については研究室での試験レベルであるが、電子ビーム照射によりトリクロロエチレンやホルムアルデヒド等が分解できることを明らかにした。
徳永 興公
環境と省エネルギーのためのエネルギー新技術大系, 0, p.506 - 508, 1996/00
原研で開発した電子ビーム照射による排煙処理法について簡単に技術紹介をした。本排煙処理法のプロセスについては、電子ビーム照射によって排煙中に生成するラジカルによるSO、NOxの硫酸、硝酸への酸化反応が基本反応であり、この反応で生成する硫酸、硝酸をアンモニアや硝石灰で粉末固体として集じん器で捕集することにより脱硫、脱硝を達成する。この方法は、従来の方法にないいくつかの実用的な特長を有し、処理コストの比較においても従来法より優れている。電子ビーム排煙処理法によって石炭火力発電所排煙処理、都市ごみ燃焼排煙処理および自動車道路トンネル排気ガス処理のパイロット試験が実施され、それぞれの実用性が試験で実証されている。
徳永 興公
原子力工業, 41(7), p.24 - 29, 1995/00
平成3年から3~4年間にわたって我国で実施された3つのパイロット試験(電子ビームによる石炭燃焼排煙処理、都市ごみ燃焼排煙処理および自動車道路トンネル排気ガス処理)について、その概要と得られた成果について述べた。いずれのパイロット試験においても、設定した目標除去性能を達成し、プロセスの信頼性と運転の容易性を示した。
徳永 興公
放射線と産業, 0(66), p.59 - 60, 1995/00
東京都が民間会社と共同で実施した電子ビームを用いた自動車道路トンネル換気ガス脱硝のパイロット試験について、平成6年12月に東京都低濃度脱硝技術評価委員会報告書がまとめられた。この報告書によると、アンモニア添加・電子ビーム照射によって数ppmという低濃度の窒素酸化物が効率的に目標除去率80%以上を達成し、1週間にわたる長期間運転によって安定した除去性能を実証した。
長田 容*; 広田 耕一; 須藤 雅弘*; 馬場 重和*; 渋谷 栄一*; 土井 猛*; 中島 道博*; 小宮 幹久*; 宮島 清則*; 宮田 定次郎; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 45(6), p.1021 - 1027, 1995/00
被引用回数:7 パーセンタイル:59.17(Chemistry, Physical)都市ごみ焼却施設からの排煙中のNOx,SO,HClを電子ビーム照射技術を用いて同時に除去するためのパイロット試験を実施中である。ごみ焼却施設からの排煙1,000Nm/時を電子ビーム照射容器に導入し、消石灰のスラリーをスプレーしながら電子ビームを照射する。400ppmHClと50ppmSOは、消石灰のスラリーをスプレーすることによってほぼ完全に除去され、また、100ppmNOxは、消石灰スラリーをスプレーしながら電子ビーム照射することによって、150Cで10kGyで約20ppmにまで除去することができた。
徳永 興公
静電気学会誌, 19(4), p.296 - 300, 1995/00
電子ビームによる排煙の脱硫・脱硝の原理について放電による排煙処理法と比較しながら解説するとともに、電子ビームによる排煙処理法の除去性能、プロセスの特徴、排術開発の現状および実用化に向けた課題について述べた。
徳永 興公; 中島 道博*; 土井 猛*
放射線と産業, 0(58), p.15 - 19, 1993/00
我国の約70%の都市ごみを処理しているごみ燃焼施設から出る排煙の中には、有害な窒素酸化物、硫黄酸化物、塩化水素が含まれており、これらは何らかの方法で除去する必要がある。原研、松戸市、NKKはこれら有害物質を電子ビーム照射で除去するためのパイロット試験を実施しており、これまでにすでに有望な成果が得られている。本論文においては、電子ビーム排煙処理プロセスの概要と特徴について述べるとともに、パイロットプラントの概要、得られた結果についても述べる。消石灰と水の混合物をスプレーしながら電子ビーム照射を行った場合、100ppmNOx、50ppmSO、350ppmHClは、150C、20kGyにおいて、それぞれ20ppmNOx、~0ppmSO~0ppmHClに低減した。
南波 秀樹; 徳永 興公; 田中 雅*; 小倉 義己*; 青木 慎治*; 鈴木 良治*
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.669 - 672, 1993/00
被引用回数:15 パーセンタイル:79.5(Chemistry, Physical)石炭燃焼火力発電所からの硫黄酸化物、窒素酸化物等の放出は、これらが大気中で酸性雨となることから、環境汚染の主要な元凶の一つであると考えられている。電子線照射法は、乾式同時脱硫脱硝法であること、副生物が肥料であること等の特長をもつ排煙処理法である。模擬石炭燃焼排煙を用いて、電子線照射による硫黄酸化物、窒素酸化物処理の基礎的データを得るための研究を、原研の小型流通試験装置を用いて行った。短期間におけるパラメトリック的な試験を行うと共に、長期間の定常的な脱硫・脱硝試験を行い、十分満足すべき結果を得た。原研、中部電力、荏原製作所が共同で、現在建設中のパイロットプラント(12,000Nm/hr)についてもあわせて報告する。
土井 猛*; 長田 容*; 森重 敦*; 徳永 興公; 宮田 定次郎; 広田 耕一; 中島 道博*; 古宮 幹之*; 宮島 清則*; 馬場 重和*
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.679 - 682, 1993/00
被引用回数:6 パーセンタイル:55.97(Chemistry, Physical)都市ごみ燃焼排煙を電子ビーム照射で処理するためのパイロットプラントを松戸市クリーンセンターに建設し、実際の排煙を用いた試験を開始した。本報告では、パイロットプラントの概要、その性能について述べるとともに試験計画及び得られた結果について報告する。1,000Nm/hrのスプリットガスを400~950keVのエネルギーの電子で消石灰スラリーの共存下で照射することにより、排煙中のSO,NO及びHClを同時に除去することができる結果が得られている。
徳永 興公
Isotope News, 0(450), p.8 - 11, 1991/12
原研で技術開発を進めている電子線照射による排煙処理技術について、原理、装置の概略、特徴、他の方法との比較等を述べた。
南波 秀樹; 徳永 興公; 田中 雅*; 小倉 義己*; 青木 慎治*; 鈴木 良治*
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.476 - 481, 1991/11
石炭燃焼火力発電所からの硫黄酸化物、窒素酸化物等の放出は、これらが大気中で酸性雨となることなどから、環境汚染の主要な元凶の一つであると考えられている。電子線照射法は、乾式同時脱硫脱硝法であること、副生物が肥料であること等の特長をもつ排煙処理法である。原研、中部電力、荻原製作所は、現在共同でパイロットプラントを建設中であるが、この石炭燃焼排煙の処理に関し、現研で行った模擬排煙を用いた流通等での基礎研究の成果を報告する。
南波 秀樹; 徳永 興公; H.-R.Paur*
Journal of Aerosol Science, 22(1), p.475 - 478, 1991/00
石炭燃焼排煙からの硫黄酸化物、窒素酸化物等の放出は、環境汚染の主要な元凶の一つであると考えられている。電子線照射法は、日本で開発された技術であるが、乾式同時脱硫脱硝法であること、副生物が肥料であること等の特長をもつ排煙処理法である。電子線照射に伴うエアロゾルの生成はこれまで、kfkで精力的に研究がなされ、粒子の直径がサブミクロンの領域にあることが分っている。我々は、原研において、1500ppmのSO、350ppmのNOを含む模擬石炭燃焼排煙中に生成するエアロゾルの粒径分布を、レーザーエアロゾルスペクトロメーターとアンダーソンサンプラーを用いて測定し、粒径分布は主に0.33-0.55mの間にあることを見出した。また、異った線量におけるエアロゾル中の化学成分(NH,NO,SO)の分布をイオンクロマトグラフを用いて測定した。
徳永 興公; 鈴木 伸武
公害と対策, 22(6), p.537 - 543, 1986/00
電子線を利用した排煙処理法について、脱硫・脱硝機構、開発の経緯および開発の現状について述べる。さらに、今後の課題と展望についても付言する。
徳永 興公; 鷲野 正光; 南波 秀樹
公害と対策, 19(2), p.158 - 164, 1983/00
電子線による排煙処理における脱硝に必要な線量の低減化を目的として、電子線照射したときに起るNOの酸化反応で生成するNOの粉体による除去を検討した。使用した粉体は、シリカゲル、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、酸性白土および3種類の微粉含水シリカの合計8種類である。実験は、流通系で行なった。その結果、次のような結論が得られた。(1)NOの酸化反応で生成するNOは、ベントナイト、微粉含水シリカおよび酸性白土によって効果的に除去できた。(2)これらの粉体によるNOの除去効果は、粉体表面に吸着している水分の量が多い粉体において大きかった。(3)この粉体によるNOの除去反応によって、わずかのNOが生成する。(4)この粉体によるNOの除去は、主に粉体表面の吸着水とNOとの次のような反応によって起っている。3NO+HO2HNO+NO
徳永 興公; 西村 浩一; 鈴木 伸武; 鷲野 正光
Int.J.Appl.Radiat.Isot., 30(1), p.19 - 23, 1979/00
NOおよびNOを水、酸素、窒素の混合ガス中において1.5MeVの電子線を用いて120Cで照射した。このときのNOやNOの除去に対するHやCOの効果を調べた。NO-HO-O-N混合ガスの場合においては、NOの除去およびそれにともなうNOの生成はCOやHの添加によっていちじるしく促進された。しかし、COの添加によっては影響されなかった。NO-HO-O-N混合ガスの場合、NOの除去はCOの添加によっていちじるしく抑制され、COが1.5%以上においては抑制の程度は変らなかった。NOやNOの除去に対するこのようなCOの効果は、COがOHラジカルと反応し、H原子を生成するために生じるものと考えられる。